30代で考えていたこと、4

こうして、私はめでたく、バーニーズ ニューヨークの第一号店オープニングスタッフになり、今までとは比べものにならないような日々がスタートしました。

何が大変かというと、まずは言葉の問題。自分では英語が話せる、書ける、読めると思っていたのに、これが仕事となると求められることも、早さも全然違っていて、その頃の私の能力では到底無理でした。言いたい事があるのに、それをきちんと分かりやすく伝えることが出来ない悔しさ、また12時間の時差によるコミュニケーションを即、取れないもどかしさ。また、本国が何でも決めるので、自分の居場所、自分のいる価値の無さなど、私って単なる窓口の役だけにいるのかしらという苛立ち。本当に、このときの必要とされていると感じられない毎日は、今思い出しても悔しい気分になります。

夢にまでみた、自分の大好き、憧れのバーニーズでやりたかったことって、こんなことじゃなかったはず。そう思い、まずは英会話の勉強からはじめました。そして次が、私の上司となるN.Y.側とのコミュニケーションを常にとり、何でも今は彼女に聞き、N.Y.のやり方、考え方、ノウハウを学ぶ、そしてそれを自分流に、日本のマーケットを考えて作り変えていく。認知度を上げ、集客力のある店、それでいてイメージアップも目指す。そんな、夢のようなことを考えていました。かっこよくて、売れる店。大人の人が集まる店。本物のN.Y.にも負けない雰囲気。これはかなり難しいけれど、やりがいのあることでした。

毎日、会社を出るのが夜中の1時はあたりまえ。
帰る前には、必ずN.Y.に電話をし、その日の全てを報告し、あと2ヶ月後に彼女?が来日するまでの下準備をする。この2ヶ月で3キロは確実にやせ、ヘトヘトでした。
そしてついに、1990年の11月3日、ついに新宿に一号店がオープンしたのでした。洋服,雑貨、インテリアにコスメやフレグランス、とても優雅で美しい新しいお店のスタートでした。どのフロアにいても気持ちのいい空間、洗練された商品、プレスの方々の評判もとても良く、たくさんの媒体にも露出、そして嬉しいことに時まさに、N.Y.ブームの真っ只中、なんだかいい波がきているような感じでした。でも、お店はこんなにきれいでも、最初のうちはなかなか数字には結びつかないつらい日々が続きました。でも、そんなことには負けず、新しいプロモーション、イベント、雑誌とのタイアップなど、考えられることで、私の得意なことをやり始めました。N.Y.という雰囲気を殺さないでできる方法を求めて。

この時が、本当に楽しくてつらかった、でもやりがいのあった毎日でした。何故なら、やったことが即、お店の数字に跳ね返るのですから。とても丁寧に考えてやったものは、確実に売上につながりますし、自分の中で迷いながらやったものや、人に言われたからやったことは、やはりそれなりの効果しかなりません。本当に、それ以来、何をやるにも手を抜かない、自分で考え納得してからしかやらない事を学びました。しかし、そのハードな毎日のせいで、ずぶといと思っていた私も、十二指腸潰瘍になってしまいましたが・・・。

また、その頃の私は、プライベートもめちゃめちゃ、順調だと思っていた旦那さんの会社も倒産し、ついには離婚ということにまでなってしまいました。
個人的にもかなり打ちのめされた時期でもありました。
こうして、あっという間の3年間が過ぎて行きました。

 つづく

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