December 2001アーカイブ

今週は、ミッドルームの更新が今年最後になりますので…。
前回までの話しの続きは、来年またスタートします。

今年は、皆さんにとってどんな1年だったでしょうか。
私はいい意味でも悪い意味でも仕事中心の年でした。今までも、もちろん忙しかったのですが、今年はお店のオープンや会社が本格的に動きだしたこともあり、何だかバタバタの12ヶ月でした。
そして、多くの方に出会い、どんなに助けていただいたことでしょうか。
思い出すたびに胸がキューンとして、それと同時に暖かい気分になったりするのです。

これまでも、何回となく会社を変わり、その度に自分の周りとの関係を思い知り、その人は本当に自分の友人だったのか、会社の友人だったのか、これからも長いお付き合いができる人なのかどうかなど、世の中の一端を何度も覗いてやってきました。
けれど、今年はそれをいつもより一層強く感じたものでした。それは多分本当に、ゼロからのスタートだったからでしょうか。私たちを信じて応援してくださる方、またこのお店のコンセプトを理解していただいた方。そして私たちと同じ気持ちになって、この新しいプロジェクトを考えていただいた方など、本当に感謝したい気持ちで一杯です。そして、その仕事とは別に、今年は自分の5年後についても考える機会が多々ありました。その訳は、45歳という年齢になったこと、そしてこのまま後何年、自分は働き、また何を残せるのか、残したいことはなんなのかを、かなり真剣に考えました。(もちろんそう簡単に結論は出ないのですが…)
それともう一つは、結婚をして今年が7年目、2人の生活にも慣れ、時には家族になり、男と女でいることを忘れてしまったり、とても我侭になってしまったり、いるのがあたり前で思いやる気持ちをなくしてしまう、そんな事が何度かあったからかもしれません。時にはその気持ちを他の人に向け、恋に発展しようとしたり、自分の中で何かが爆発する寸前になったりしたこともありましたし…。子供のいない無責任さと同時に自分のことだけを考えて生きてきている居心地のよさに逃げてしまう、ある意味で大人になっていない自分を何度も確認してしまいました。
でも、そのおかげでしょうか、とてもたくさん話したり、出かけたりして二人の生活がまた新たに始まった感じです。夫婦で恋愛をする、なんてよくいろいろな雑誌では書かれていますがそんな関係が作れるように…。(そんなことを言っても誰かを好きになってしまう時があるかもしれませんが…。)

それからこのホームページ、ミッドルームを通じて新しく知り合うことが出来た皆さんに「本当に有難うございました」と声を大にして言いたいです。もちろん私にとっても初めての経験でしたが、その私に脅されて毎週とても楽しい原稿を書いてくださったライターの方々、そしてそれを毎週読んで励ましのメールや同じような悩みを打ち明けてくださった新しいお友だちに本当に心からの感謝と「これからも一緒に頑張りましょう!」と、お伝えしたいです。

そして、新たに始まる2002年の私の計画は、もちろん会社がドンドン大きくなって、働いているみんなが幸せだな!と感じるようになって欲しいし、お店でお買い物をして下さっているお客様には、周りの方からオシャレね!と言われて、かっこよくなってもらいたいしと何だかかなり自分勝手で我侭な計画になってしまいそうですが…。

とにかく来年も元気にハイテンションで突っ張りますので、皆さんよろしくお願いいたします。
そして、良い年をお迎え下さい。
I hope you have a happy holiday season and glorious year.   Midori.

○○ジャパンでの仕事は、何事においても予想していた以上に本国との交渉に時間がかかりました。それは、時として何も分かっていない日本のことを言われるのですから、とても傷つく時がありました。
「何故日本に住んでいない人にそこまで言われるの」とか、
「日本とアジアのマーケットで本国の売上を支えているんじゃないの」とか、
何だか納得のいかないことばかり…。そして自分の役目は単なる窓口業務になるような気もしたり。やる気が半減してくる時もありました。またアルマーニは店舗もとても多いですし、ブランドも多い。その上それぞれが、もう日本に上陸して10年以上もたっているので、それを新しいイメージに変えていくのは並大抵ではありません。

お客さまの中で常に新鮮なアルマーニを印象づけることが必須ですし、新しい顧客開拓もしなくてはなりません。でも、それが、私のこの時にやりたかった仕事でもあったのです。ですから、現場にはかなり積極的に出かけましたし、営業の人とも話し合う時間を作りました。そうしないと、現状が分かりませんし、お客様が見えてこないのも嫌なので。また、どの会社でも、物を売る側とイメージを守る側は、どうも対立しがちです、私はこのように、一つの会社の中で対立したりするのが嫌ですし、それではいいものも作れないととても強く思っていますので、この関係の修復にもかなり努力しました。でも、このことについては、営業の方もそう思っていましたし、お店の方もそう感じていましたので、それほど難しいことではありませんでした。そういう意味では、みんなが考えていたことが同じだったのでしょう。こうして、常に新しいアルマーニ、帝王としてのアルマーニ・スタイルを頭に置きながら仕事をしていました。

そんな忙しい状況の中でしたが、私は時々夢を見始めていました。それは、やはりお客さまに近い環境で働きたい、できれば1から考えて作った大人の楽しめるお店、そして自分の着たい服や働いているときに自分らしいオシャレがしたいと思い出したのです。たぶんその理由は自分が40代になり、大好きなブランドのアルマーニで働いていてもそのことが解消されなかったからかもしれません。
その上、イタリアやN.Y.に行けば行くほど、何故日本には働く時にいい素材で着心地も良くて女らしいものがないのかと感じるようにもなっていました。もちろん値段も含めて適正なものが、もっとあってもいいのではとも思っていましたし、セクシーな大人の女の人にも、もうそろそろなりたかったし…。そんなことを考えたりしていました。もちろん自分の個人的な希望として。

そしてこの頃の私は、とても“おしゃれをもう一度楽しみたい病”にもかかっていました。
それはどういうことかと言うと、アルマーニに移ってから、もちろん毎日アルマーニを着て働いていました。それももちろん自分の仕事の一部と考えていましたし、好きでしたので…。でも何かが違う、本当の自分のスタイル、自分らしいスタイルやコーディネートをもう一度探したい、そうしないと何だか自分が止まってしまうような気がしていました。メークやヘアースタイルもそうですが、年をとるとコンサバになってしまう、それがとても恐かったし、それにはもう一度ファッションの現場に戻りたいと考えだしてもいました。だってまだ、40才を少し超えたばかり、おばさんになるのは悲しいし…。
まぁ、こんなことを考えながら、忙しくも楽しく毎日を元気に働いていました。

つづく

朝の成田に到着し、アルマーニ氏も含めてイタリアのスタッフ一行を待つこと1時間。
ついにアリタリアから彼らが降りてきました。迎えに行った日本側のスタッフ、社長も含めて8名は、とても緊張して顔もこわばった感じ、そしてもうこの時から、テレビカメラの取材もスタートしていました。そして車に乗り、レインボーブリッジを渡った頃には、この16年間の東京に変わり方にとても驚いている、アルマーニ氏がいました。

本当はそのままパークハイアットにチェックインする予定でしたが、今すぐに絵画館前の特設会場の進行状況を観に行きたいとおっしゃり、車は行き先を外苑に。
この彼のエネルギーの高さには、さすがに全員が驚いたものでした。
そして、場所を見てから今度は、このとき来日を記念したビルボードを見てまわるなど、本当に勢力的に動きまわり、やっとホテルに入られ、また次に日からのスケジュールの打ち合わせを…。
毎日、朝早くから、インタービューや撮影、それに加えてモデルのオーディション、会場のチェックと、本当に毎日、彼も彼のスタッフも朝から夜中まで働きずくめ。
私たち日本のスタッフもテンションは上がったままの毎日。
そして、遂に絵画館前には大きな2つの特設テントが完成し、アルマーニ氏のファッションショーがスタートしました。

今まで何回も経験しているファッションショーですが、このときは本当に特別な感じ、彼の世界に飲み込まれていくような、すごい力と観に来てくださっている方々のパワーで鳥肌が立つような感じでした。そしてレセプション、イタリア大使館でのプライベートなウエルカムディナーの演出も、それは、またN.Y.とは違った素晴らしくゴージャスでエレガントな感じでした。
本当にここが日本とは思えないような、素晴らしい空間がそこには出来ていました。これが、やはり彼が一流といわれているところだと、とても勉強になりました。
そしてまた、この場所にお越しくださった方々にも、ハイソサエティとはこういうことなのだと、教えられた気がしました。そして、上機嫌で彼らはミラノに帰っていきました。

この、長いようで短かった一週間が終わり、私もミラノのスタッフとも仲良くなり、お互いの信頼感、仲間意識も出来、これから仕事をする上ではとても良かったと思いました。やはり、何事も経験、そして嫌がらず、怖がらずやって見るものだと自分に言い聞かせながら。こんな、ばたばたの日々を過ごし、アルマーニ・ジャパンの生活も少しづつですが、自分のペースでやれるようになっていきました。
スタッフの皆や、他の部署の方、代理店の方々とも少しずつ距離も近くなり、自分の仲間とも同じ方向を見ながら働きだして来ている感じがしてきていました。
今まで、日本は実施するのが許されていなかった(雑誌等との)タイアップもいくつか出来ましたし、それが売上につながり、ブランドの認知度を再度確認できたりと、本当に少しづつですが、前に進みはじめていました。

しかし、このアルマーニ時代は本当にいろいろな所にいきました。年に最低4回のミラノ、に加えて日本国内のショーのための巡業、それもアルマーニにエンポリオ、アルマーニ・コルツィオーネ、その他にライセンスの香水、眼鏡、時計、ゴルフなど、自分の机に座っていることがほとんどないような状況でした。ですから、もちろん家のことは何も出来ない、ダンナ様はほとんどお留守番のような毎日。
会話もほとんど出来ないような感じで、一人の方がやっぱりいいかも知れないなどと、考えてしまったこともよくありました。よく男の方が家にいる時はいつも疲れて寝ていると言いますが、この時はまさしく我が家はダンナさんが2人いるような感じでした。このままでは、いけない、本当に結婚している意味がないと分かっていたのですが、その溝が埋めれる体力や余裕がないような感じでした。一緒にいても、何だか疲れていて楽しく出来ない自分もとても嫌でした。彼のことを嫌いになったわけではないのに…。

でも、自分で決めた転職ですので頑張るしかなかったのが、本音です。
今までやってきたことを、きちんと生かしながら、本国のスタッフを納得させること…。
それは、一流ブランドであればあるほど厳しく、時間のかかることでした。
でもこれが、○○ジャパンで働く人の試練なのだと言う事も、分かりかけてきたのでした。

つづく

こうして、区切りの40歳にアルマーニジャパンへ入社しました。
金曜日の夜まではバー二―ズにいて、皆との別れが悲しかったり、なんだかつらかったりして初めて会社で涙してしまいました。
そして、月曜日にはアルマーニジャパンで働きだすという、かなりハードな感じ。そのうえ、今度はある意味で本当の外資系、今までとは比べ物にならないような厳しいことが求められるような感じでした。また、本国との関係も全然違うと思いましたし、自分がどのようなことをここではしなくてはならないのか、一日も早く見つけなくてはと、少しあせっていました。

そして、出社一日目、期待と不安とやる気で席に就いたときです。私のチームになってくれた9名の人達の表情がとても気になりました。
何故なら、オフィスの雰囲気がとても暗くて、全員が常にPCに向かっている、誰も話もしないし、お昼なんて誰も私を誘ってもくれない、かなり孤独な感じでした。そのうえ、普通であれば代理店の人も挨拶や引継ぎに来るのに、それもないし、一体全体どうなっているのこの会社は?…。あと1ヶ月もしないうちに、イタリアからはたくさんのスタッフも来日するし、もちろんアルマーニ氏本人は16年ぶりだというのに、その為の準備は万全なの?インタビューや撮影等の打ち合わせは大丈夫なの?また1,000人もの要人が集まるのにそのケアは、社内だけでは絶対に無理、代理店の方々にも助けて欲しいのに…。

そんな気持ちで一日目が終わり、私はかなり不安と居心地の悪さを感じていました。
しかし、ここで負けてはいけません、まずは、自分の仲間となる皆を集めてそれぞれが今、どんなことをしているのか、また、今回の来日のことにどのくらい関わっているのか、そして私が入ってこの会社でやりたいこと、またやらねばならないと思っていることを話しました。それは、まず皆と仲良くなりたいということ、何も隠さず話して欲しいし、困った事は必ず私が何とかするように努力するし、周りの人も説得するので何でも言ってきて欲しいということでした。そして、もちろんPCを使ってのメールでの報告はあってもいいけれどそばにいるのだから、できるだけ顔を見て話しましょう。というお願いをしました。それから、今度は外の人、代理店の人を呼んで、是非この来日に関する件を一緒に手伝って欲しいし、皆さんの協力がないと出来ないので気持ちをひとつにして、アルマーニ氏を気持ち良く迎え、気持ちよく帰しませんか…と、お願いした。
そうしたら、皆の顔色が輝きだした。
社内の人も含めて、代理店の人達も「待っていました…そう言ってくれるのを。」
「僕たちも頑張りますよ。」と皆の距離がとても縮まった。

そしてこの時になって分かったのですが、スタッフと広報室長との距離は私の考えていた以上に今まではあったようだった。
何故なら、このアルマーニの広報室長というのは歴代とても優秀な方々が多かったし、また皆さん前職も一流ブランドの広報室長という方々、キャリヤも年令も私とは比べ物にならないような感じだったので、内外ともに一目置かれていたにようでした。
だから、私のように皆でやらなければ、出来ないようなタイプの人はいなかったようでした。でもだからこそ、私は一緒にやりたいと思ったのでした。

そして、それが今までの私の仕事の仕方なのです。自分のスタッフはとても大切な仲間、また代理店や外の方々はブレーンと考えています。だから、自分もオープンに何でも話すし、裏表もない関係を作りたいし、それが出来て初めていい仕事が出きるはず…。
また、上司は部下を選べるけれど、部下は上司を選べないのですからきちんとした関係をつくっていくのが私の役目と考えています。そして自分の部署で起きたことは、全て私の責任ですので、部下の人のせいにはしませんし、それをきちんと周りの人に説明、説得できるのが私の役目と思っています。
(まぁ、こんな事は周りの人に言う必要はありませんが…。)

こうして、皆とも少しずつ打ち解けてきました。
たぶん私のこんな性格や仕事の仕方も理解してくれたのかもしれません。
そして、ついに16年ぶりにアルマーニ氏が来日する日が来ました。

つづく

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