OLD midroom

大人の香り?

女性が自分らしく生活する為には、いくつかのことに拘っているはず。
特に私はその中の一つとして、自分の香りを持つ、持ちたいという希望がありました。

以前ある雑誌の取材で、パリでは大人の女になることの一つの証として、自分の香りを探す、持つということがあるとお聞きしました。日本人は体臭が弱いし、ブランド好き。広告に左右されたり、流行の香り、皆がつけている香りのほうが落ち着く、安心という人が多いのか、よく電車の中やすれ違いざまに同じ香りをつけている人に遭遇してしまい、自分の記憶のなかにある素適な思い出が崩れてしまうことが良くありました。

そんな私がこの3年間浮気もせずに、自分の香りとしてとても気にいっているものにめぐりあいました。タクシーに乗れば運転手の方に、「お花を持ってきたのかと思いましたよ。」とよく言われ、会社の入っているビルの女性用のトイレでは、「その香りなんていう名前ですか?初めての香りです。」となかなか周りの方の反応も良く、嬉しい感じです。有楽町のお店をオープンした頃、パリから入れた、フレデリック マルが編集した9つの香り。一つ、一つに歴史やストーリーがあり、どれも今までには無い個性的な感じが好きでした。調香師の方もそれぞれに、優秀かつユニークで奥行きの深さもとても魅力的でした。 そして、その中でも“LYS MEDITERRANEE”はフラワーベースで、ユリが中心のとても優しい、それでいてきりりとした感じが久々にとても気にいってしまいました。私のように、スーツ、ジーンズ、ドレス、と着るものもまちまち、会う方も男性 女性と常に特定できず、その上年齢の幅が広いしと、今までもいろいろなシーンを想定し、考えたあげく、気になると思えば試したり、変えたりと、悩んでいたので一つのものをこんなに長く使い続けるとは、続けられるとは自分でも驚いています。
またこの何年か変えないでいるために、この香りで私を近くに感じてくれたり、思い出してくれたりする人が少しはいてくれる様になれば、素適なことですしね。何しろ周りで同じ香りの方が少ないのも、自分だけの特別感につながり凄くいい気分です。

何だか、やっと大人になれたような、また女としても一人前になれたようなそんな優越感。
そして時々近くにいる男の人に「この香り私に似合っていますか?」とか「どんな風に感じている?」と訊ねてみたい気もしますが、自分が毎日身にまとい、香る、嗅ぐという行為は、イコール私の中では、その人が私を感じることにつながり、何だかとてもセクシーだと思いませんか。何年か後にこの香りを身に付けている人とすれ違った時、私の事を思い出してくれるような人が少しでもいたら、幸せですしね。きっとそんな人とは、いい関係だったに違い無いので。

香りがやっと自分の一部になりつつある、大人な気分の私です。

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