OLD midroom

30代で学んだこと。3

私は、体質だったのか、それとも親が異常に厳しかったためか、20代の頃は、全然お酒というものが飲めなかった。気持ちが悪くなるとか、頭が痛くなるとか、体が受け入れないというわけではないのだけれど、何故か、苦手だった。もちろん、夜遅くまで遊んでいたり、友達や周りがどんなに飲もうと、かまわないし、その雰囲気や、そういうお店は大好きなのだけれど、お酒が美味しいとか、自分から飲みたいとかそんな気持ちになったこともなかった。

それが、”まるで違う人が、もう一人現れたのでは” と思うようなことが、30歳になってから起きた。
お酒が、ある日突然、美味しいと感じたのだ。

しかも、一番嫌いだった日本酒が、冷たくしたら、美味しかったし、どんどん飲めた。大好きな和食にとてもあったし、お寿司、てんぷら、焼鳥などその頃好きだった食事には、ぴったりだった。
そして、その後に少し、薄暗いバーに行って飲む、ウォッカトニックが私のその頃の定番になった。
また、お酒を飲めるようになった嬉しさもあって、毎日毎晩、こんな生活をしていたら、ますます強くなって、最後には、いろいろな人から”かわいくないなぁ” と嫌がられるようにもなった。
午前2時、3時まで飲んでも、一向に酔わず、一人で ”じゃあね、おやすみなさい。” と、タクシーを止めて帰ることが楽しくてたまらなかった。

そんな時期を過ごし、”たまにはお酒の力をもう少し使えばよかったな” と思うことが浮かんでくる。
例えば、誰かの愚痴や自慢話、お説教をまじめに聞いてしまった時、心のどこかで、好きだと思い始めていた人と会った時、自分の弱みを誰かに受け止めて欲しいと感じた時、たまにはめちゃめちゃになりたいと思った時など・・・・。
今となっては取り戻せない時間、人。そのせいではないけれど、ここ何年は、もちろん酔っ払うことこそ相変わらずないけれど、酔ったふりができるようになったし、酔った人にあわせることもできるようにもなった。そのおかげで、ほんの少し危険でロマンチックな夜が少しは増えたかも。
(でも、これって、学んだこと?に入るかどうかは読んだ方の判断におまかせします。)

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