OLD midroom

雪の魔法

今日は久しぶりに雪の朝。歩くのも会社に行くのも面倒くさい気分にはなるのだけれど、街が白く変わっていくのは気持ちが良くて何だか嬉しい感じです。

そんな光景を見ながら、ずいぶん昔のある出来事を思いだしました。
彼とは仕事の仲間でした。年齢や考え方が近い事もあり、とても気の合ういい関係だったと記憶しています。たまに、みんなで仕事帰りに飲みに行ったり、ご飯をしたり、ワイワイガヤガヤ楽しい時間を過ごしていました。また、休みの日にも家の方向が近かった事やその頃、私も好きだったサーフィンが彼の趣味だった事もあって、暇を見つけては、彼の仲間達と一緒に湘南にもよく出かけていました。気分転換をかねた、この時期のこのような過ごし方はとても気に入っていました。海に向かって、夜中運転していく時のあの開放感、自由な気分、束縛される事の苦手な私には、本当に楽しい時間でした。でも、彼との関係はいい友人。そこから変わるのが怖いというような、すこし複雑な気持ちでもありました。そんな彼と、仕事で関西に出張に行く事になりました。お店のオープンのお手伝いと準備。最初の予定では、朝の早い新幹線に乗り、一番遅いので戻ってくる、身体的にはキツイけれど、荷物も持たずに気楽なスタイルで行けるというので、私たちもそのような予定にしました。

しかし、現場についてみると予想以上に工事が遅れていて、何から手をつけていいのやら、困ってしまうような状態。そのうちに、何だかお天気まで暗くなってきてますます怪しい感じ、一緒に行ったみんなも「泊りの準備をした方が良いかもね」と簡単な着替えを買いに行ったり、地元のホテルの手配をしたり、お化粧品を用意したりバタバタしていました。そんなことをしながら、準備が始まったのが夜の22時以降、もちろん終わったのは朝方。それでも、どうにかこうにか翌日の開店10時には、ぎりぎりセーフで間に合ったのですが、その日のお天気が今日のように雪。深々と静かに降り続くその景色は、とてもキレイで昨日の夜のドタバタは、まるで嘘のような感じでした。オープンを見て、皆それぞれが帰りはじめ、彼と私も会社に向かうべく新幹線に乗りました。さすがに疲れてウツラウツラ。少しして眠りからさめると、外は真っ白な銀世界、そして同時に新幹線は関が原でストップしてしまい、なんと「復旧のメドが立ち次第ご連絡します!」というアナウンスが流れ始めました。

今ならば携帯電話がありますが、そのころは何も無く、ただ「困ったよね!」といいながら待つしかありません。その間4時間、彼と初めて二人だけになった事もありプライベートなことなどをいろいろと話しました。今まで迷っていて言えなかった彼に対する気持ち。この時までに感じていた正直な思いを、お互いに話しました。雪の魔法にかかったように、静かに自分の気持ちを話すことが出来ました。そしてそのことで、彼をより身近に、そして彼からも求められていた事を知りをとても幸せな気持ちになったものでした。

雪の為に止まったあの4時間が無ければ…。そんな若い頃の出来事を思い出した私でした。
皆さんも雪の魔法にかかってみては。

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