OLD midroom

30代で考えていたこと、7

前々回の続きに戻ります。
こうして、バーニーズも新宿と横浜の2店舗体制になり、やっと会社としても利益が出始めましたし、知名度、ブランドとしてのイメージもかなり上がってきました。

ここまで来るのに、ちょうど4年ぐらいかかったでしょうか。0からのスタートでしたので、本当に勉強になることばかりでした。人との接し方はもちろんのこと、海外での仕事の仕方、プレゼンテーション方法、また日本の古い体質の中での自分の動き方など、なんだかオヤジくさい所も随分学ぶ事ができました。
また、20代の時よりも多くの人と知り合い、友人もかなり増えました。仕事を通じてでもこんなに仲良くなれるのだと思いすご~く嬉しい思いもしましたが、その反面、口ばかり、表面上ばかりという人もたくさん見ましたので、世の中の怖さ、醜さ、そして嫉妬などもとても感じ、考えさせられたものでした。

しかし、B型のマイペースな私は、相変わらず元気に前向きに!をモットーに、バーニーズのイメージ訴求と、売上アップに日々走りまわっていました。
そんなとき、とても衝撃的なことが起きました。
これは、もしかしたら今まで自分が味わったことのないようなこと。自分の力ではどうにも防げないし、切り抜けることさえも出来ない重大事件。それは、N.Y.のバーニーズがチャプター11という日本で言うところの会社更生法を発表したのです。それは、どのようなものか、その時には全然理解できない、また思いもよらない突然の事でした。N.Y.側がこのことによってどのように今後なっていくのかも全く想像出来ないような感じでした。でも会社全体がとても衝撃を受け、親会社も含めて、大きな渦の中に巻き込まれていきました。

私も正直言って、狐につままれたような感じで、昨日まで電話やファックスで仲良く話していたN.Y.の人たちが、敵ではないのですが、信じられない、これからどのように接していけば良いのか・・。また、その頃やっとバーニーズの日本でのブランディングもでき、売上、認知度も急速に上向いて来ていたのにと、そう思うと悔しくてたまりませんでした。この会社に入社して7年間作り上げてきたものはなんだったのだろうか。これから、どのようにしていけばいいだろうかと、そんな事を日々動いていく状況をみながら考えていました。
そして、時々呼び出されては行われる弁護士の方とのミーティングも悲しいものでした。何故なら、N.Y.の彼らとも最初のうちはいろいろと、もめたりもしましたが、7年経ったその頃はいい意味でのパートナーになっていましたし、その彼らから教えてもらったことも一杯ありましたので、この時に聞かれる内容や事業関係(どちらがその時、何と言ったか等)は、仕様がないとはいえとても嫌でした。
また、一番悲しかったのが、それと同時にお客様や外部の方から、会社や「お店がつぶれるのか?」と聞かれることでした。お店でも、心配してくださるお客様がいたりして、その応対や答え方なども、誤解のないようにするという、会社の広報的な仕事も私のテリトリーに加わり、違う意味で慎重に、かつ迅速に動いていました。

そして、その頃、まるでこの状態をみていたかのように数多くのヘッドハンティングの方や会社から声がかかりました。インポートの洋服関係、化粧品、アミュ―ズありと本当に興味深い、また自分のキャリアを生かせていけるようなポジションでした。辞めたかったわけではありませんでしたが、年齢的にも私は39歳という、通常ではかなり転職などには難しい、厳しいところにきていましたので、自分でもかなりシビアに考えていました。そして、悩む事、3ヶ月ついに、大好きだったバーニーズを卒業して、新しい仕事に就く決心をしました。

前にも書いたように、本当にとても興味深い話をたくさんもらっていたのですが、その中で自分が本当に良いと思え、また好きという気持ち、誇りを持ってPRができると思ったのが、ジョルジオ アルマーニ ジャパンだったのです。その上、この年の11月にアルマーニ氏自身が16年ぶりに日本に来日し、1000人規模のセレブリティをお招きしてのショーを行うというのも、とてもやりがいがあると感じたからです。

こうして、またまた大変な時期の新しい会社に移リ、私の新しい生活が始まりました。

つづく
ps:
30代を振り返ってみると、やっと自分の仕事が出来るようになった10年間だったと思います。
それは、20代の頃に比べて自分に対してかなり厳しく、冷静に、そして前向きにやってきた結果のように思います。そして女としても、働く仕事人としても、とても多くの方との出会いや別れを経験し、ホンの少し自分の中でも幅ができ、人と接すること、許すことが出来るようになったようにも思います。皆さんの中でも、今まさに30代、いろいろな悩みや壁にぶつかっている方も多いでしょうが、この10年間はとても大切で重いものだと自覚しましょう。そして再度、自分のなりたい自分、やりたい仕事を考えてみてはいかがですか。
そう思っていると必ず、新しい道や人に出会えるはずですから…。

一度しかない人生です。悔いのないよう生きましょうよ。

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