OLD midroom

別れの時

この2年、私と最後の時間を過ごしていた母が亡くなりました。
まだ正直言って信じられないような状況で、こうして仕事をしているときなどは、何も以前と変わらないような感じで、本当は今、私の周りで起きていることは嘘だったのではないか、間違いだったのではないかと思ったりしています。でも、家に帰り、一人になるとこの事実は私の体と心に強く押し寄せ涙が流れてしまうのです。

それに加えて、実家から持って帰ってきた母の写真はどれも美しく明るい笑顔で、二人で話していた言葉まで思い出されて来るような感じなのです。こんな日がいつかは来ると、誰でも覚悟をしているのに自分の母親だけは、いなくなるはずがないと思っていたいというのも本音でした。かなり体力的にも精神的にも弱くなっていたし、それを見ていてとてもツライと思い、そろそろ楽にしてあげたいと思ったことも何度もありました。でも、また何日かして彼女に会うと、やっぱりまた元気になってご飯でもできるといいよね、何て話かけている自分がいたりするのでした。

でも、ついに別れる時が来ました。
「小さい頃から、女の人は常に美しく強く優しく、そして社会の中でもきちんと自分の意見を言えるようになりなさい。」、そして、「常に人に対して感謝の心を持ち続けていくこと。」、「人は一人では生きられないのだから、夫婦なんてもっとそうでしょ、アカの他人なんだから違っているのが当然、それを理解してやるのよ」、、、、こんな事を何十回も言われたものです。このしっかり者?、決断の早い私も、ウジウジしているとか、忙しさに甘えてちっともあなたはキレイにしていない!と何度怒られたことでしょうか。エステに、ネイルに行く、髪をキレイにする、そんなことは当然で、それが出来ていないのなら女性としては失格、仕事をしている一人の女としても認められないわよ、、そんな厳しい忠告もかなりあり、彼女に会うときはいつも本当にキレイにしていかなくていけないという、観念がずーっと私の中にはありました。でも、その反面凄く仕事をしている私を認めてくれていて、誉めてくれたり、励ましてくれたり、力づけてくれる事が天才的に上手くて、彼女の一言がなければ、切り抜けれなかった仕事、人生の転換期を何なくこなしてこれたのも事実です。そしてそれらの事全てが、ある意味私の基本となり、今となっている部分でもあるのです。

親だから言ってくれる、暖かく厳しい一言がもう聞けなくなるなんて、何ともいえない気持ちです。
でも、最後の時間を一緒に過ごせて本当に良かった、有難う、あなたの娘としての誇りを持ってこれからも生きていきます。教えて下さったことを守りながら。
どうぞ、天国でお父さんとまた仲良く元気に過ごしてください。

Comment [1]

私も数年前に父が亡くなりました。父が亡くなった直後は、非常に悲しかったのですが、時間がたって、考えてみると、人が死んでいくのは、自然な事と、最近は、思えるようになってきました。

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